透析食を常食と同じ様においしく、又身近な食事として捉え、毎日の食事作りに参考にしていただければと思っています。
透析食は複数の制限があることで、難しい・大変・美味しくないといったイメージがあります。個々の食品にこだわらず、一日もしくは一週間のトータルで考えると、思っているほど難しくも大変でもありません。又ちょっとしたポイントやコツに慣れることで、家族の食事と同じメニューで透析食を作ることも可能です。食事療法の一番大切なことは、一日3回規則正しく食べること(食事を美味しいと思って食べられること)だと考えています。制限にこだわらず、制限を上手に活用して美味しい透析食を作りたいものです。
それではどんな制限があり、どんなことに気をつければいいのかお話しましょう。
エネルギーは体を動かす燃料です。健常人と同じ量もしくはそれ以上に、各人の体格(身長)や活動量に見合った量を糖質や脂肪で適切に摂取することは、体力や健康状態を維持するのにとても大切です。消費したエネルギーよりも食事でとってエネルギーが少ないと、体に蓄えられたグリコーゲン・脂肪・たんぱく質までエネルギー源として使われ、やせてきます。エネルギーが不足すると多くの透析患者さんは、栄養不良の状態となり、身体の抵抗力が弱くなり感染し易くなります。又高カリウム血症の原因にもなります。
一日に食事で摂る必要のあるエネルギー量は、理想体重[理想体重=身長(m)の2乗×22]1kgあたり35〜40kcalです。エネルギーになるものには、糖質(1g4kcal)・脂質(1g9kcal)・たんぱく質(1g4kcal)の3大栄養素があります。脂質はgあたりのカロリー(エネルギー)量が多いので、エネルギーの補給には脂質を上手に活用しましょう。
たんぱく質も重要な栄養素で適正量の摂取が必要です。たんぱく質は終末代謝産物の毒素やリンの産生源ともなりますので、たんぱく質を適量摂ることは、リンの制限にもつながります。理想体重1kgあたり約1.2gのたんぱく質を摂るとよいでしょう。たんぱく質には動物性と植物性がありますが、バランスよく摂るようにしましょう。たんぱく質はほとんどの食品に含まれていて、魚介類・肉類・卵類・乳類・豆類等に多く含まれています。たんぱく質10g中に、リンは平均して130mg含まれているといわれています。たんぱく質の摂りすぎには気をつけましょう。
次に大切なことはカリウムの多い食品を控えることです。カリウムは、細胞特に心筋細胞の機能に重要な役割を持っています。血液中にカリウムが貯まり過ぎると、不整脈を起こして心臓マヒとなるので危険です。出血や感染症などで急に高くなることがあり、少し高いからといって安心は出来ません。高カリウム血症の一番の原因は食事にあります。カリウム含有量の少ない食品を選んだり、調理上の工夫をしましょう。カリウムは水に溶ける性質がありますので、茹でこぼしてから調理する(特にカリウム含有量の多い野菜類やイモ類)、又水に長時間さらすことで減らすことが出来ます(この場合細かく切るとなお良いでしょう)。生の果物も口当たりが良く、季節の果物を食べたいところですが、カリウムが多いので缶詰にしましょう(シロップはカリウムを含んでいますので残しましょう)。海藻類・種実類・一般的に健康食品といわれるものもカリウムが多いので気をつけましょう。
長期に透析療法を受けている患者さんでは、骨がもろくなり関節が痛くなるなどの症状が出てきます。リンが高くなると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、骨がもろくなる等の問題を起こします。そこで食事でリンを制限する必要が出てきます。リンの摂取量は1日あたり、約700〜800mg以下にするのが望ましいとされています。リンはほとんどの食品、特にたんぱく質に多く含まれています。リンが比較的少ないたんぱく質を、必要量摂るように心がけましょう。お菓子の中にはリンを多く含むものもあります。加工食品には、リンを含む食品添加物が加えられているものが多く、その他清涼飲料水などにも使用されていますので注意しましょう。たんぱく質を適量摂ることは、リンの制限にもつながります。
また、水分と塩分は出来るだけ控えておきましょう。水分が体内に貯まり過ぎると、肺水腫による呼吸困難をおこします。また、透析中の副作用(血圧低下・吐き気など)が起こりやすくなります。汁物や飲み物を取らなくても、1日の食品中から約1リットルの水分を摂っています。水分の多いメニューは避けましょう。塩分のとり過ぎは、むくみ・高血圧を起こしやすくし、心臓の負担を大きくします。また塩分をとり過ぎると、のどが渇き、水分制限を困難にします。塩分制限のポイントとして(1)新鮮な旬の食材を使いましょう。(2)酢・柑橘類の酸味を生かしましょう。(3)バターやごま油でコクと旨みをつけましょう。(4)塩分は一品に重点的に使いましょう。(5)だしをきかせましょう。ただし、昆布だしは避けましょう。(6)出来立てをいただきましょう。(7)薄味のものでもたくさん食べれば塩分を多くとることになります。塩分は計画的に使いましょう。(8)外食は塩分が多く含まれています。ラーメン・うどんなど汁は残しましょう。(9)塩分調整食品(減塩)を上手に活用しましょう。
特殊食品(高エネルギー食品・低たんぱく質食品・塩分調整食品・低カリ低リン食品・その他関連食品)を利用するのも良いでしょう。制限にあまり神経質にならず、個々に合った食事療法を心がけて下さい。血液検査値とも照らし合わせ、臨機応変に行いましょう。
皆様といっしょにおいしい透析食を作りましょう!!
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