Q&A

血液透析に関するご質問と答え

透析食では、エネルギーが大切だと聞きましたが、どうしてですか?また、どのように気をつければよいのでしょうか?

ご質問ありがとうございました。エネルギーが不足すると、体を作っている蛋白質がエネルギー補給のために分解されてしまいます。すると代謝産物である尿素やクレアチニン、カリウムなどの増加を促してしまいます。また栄養不良の状態で、抵抗力が低下したり、貧血などをおこしやすくなります。主食(ご飯)をしっかり食べ、油を使った料理を一品取り入れるなど、高エネルギー食にしましょう。また特殊食品(高エネルギー食品)などを利用するのも良いでしょう。

透析食でのたんぱく質摂取について教えてください。

たんぱく質は体を作り維持するのに欠かすことの出来ない栄養素です。しかしたんぱく質を摂り過ぎると、リンやカリウムの摂取も多くなるため、良質のたんぱく質を必要量とることが大切です。良質のたんぱく質とは、私達の体に欠くことのできないアミノ酸を、バランスよく含んでいるたんぱく質です(鶏卵・肉・魚・牛乳など)。

1日に必要な目安(体重50㎏の場合)…豆腐1/5丁、肉類70g、魚介類70g、卵1/2個、牛乳100ml です。

毎回の検査でカリウム(K)が高いと注意されています。高カリウム血症の症状と、上手なコントロールについて教えてください。

カリウムは身体にとってなくてはならない成分ですが、正常範囲が狭く(3.5~5.5mEq/ℓ)、6.0を超えますと要注意とされています。高カリウム血症では心臓の拍動の乱れから、ついには停止する危険があります。前兆として口唇のしびれ、手足のしびれ、手足の麻痺、胸が苦しいなどが現れます。このような症状が出た場合は、昼夜を問わず直ちに透析施設に連絡し、緊急処置を受ける必要があります。

次にカリウムのコントロールですが、食事療法がとても大切です。カリウム含有量の多い食品(果物・生野菜・ドライフルーツ)の摂取を控え、野菜は細かく切って水にさらす、茹でこぼすなどして調理しましょう。海藻類・種実類もカリウムが多いので気をつけましょう。

また必要であれば、食べたカリウムを腸管内で吸着して便中に排泄させる薬(カリメート・アーガメイトゼリーなど)を服用する場合もありますが、副作用の便秘のため服用できない方もいます。

毎回体重の増加が多く、『塩分の摂りすぎではないですか?』といわれました。どうして塩分を多く摂ると体重が増加するのでしょうか?

塩分を多く摂ると、腸から塩分は吸収され血液中に入ります。そうすると血液中の塩分濃度が上がり、口渇中枢が働いて水分を多くとり、血液中の塩分濃度を正常に戻そうとします。腎臓が正常に働いていると、取り込んだ塩は水とともに尿中に排泄されますが、透析患者さんの場合尿を排泄できないため、体内にとどまってしまい体重が増加してしまうのです。またこのことは血管の中に水と塩がより多くとどまるため、血圧も上昇します。

減塩のポイントとして、酸味(酢など)香辛料(こしょう、わさび、からし、カレー粉、唐辛子)香味野菜(生姜、青じそ、青ねぎ、みょうが)を利用すると良いでしょう。

麻生区多摩美に住んでおります。こちらへも送迎していただけますか?

多摩美までは当院から約7㎞ですので送迎可能です。曜日・時間など詳細については、直接お問い合わせください。

透析を始めたばかりです。役所への手続きの必要はありますか?

先ず最初に、『特定疾病療養受療証』の申請をする必要があります。(自己負担分が0になる手続きです。)
最寄の役所(市役所・区役所など)の保健係で手続きが出来ます。

透析治療を受けておりますが、歯科の治療がなかなか受けられません。どうしたらよいでしょうか?

往診にて歯科治療を行って下さる先生が、最近多くいらっしゃいます。地元の歯科医師会へお問い合わせください。

透析しており、かなり体も不自由です。何か公的に利用できる制度はありますか?

「介護保険」というものがあります。市の介護保健課に本人又は家族が行って申請する必要があります(訪問看護・家事サービス・デイサービス・住宅改良の一部補助金制度など)。市の介護保健課で詳しい説明をしてくださいます。

透析治療中で、脳梗塞を合併しております。在宅でマッサージ、リハビリが受けられると聞きましたが…

自宅でマッサージ、リハビリを受けられる制度があります。最寄の市役所・区役所の福祉相談窓口でお尋ね下さい。紹介していただけます。

川崎市の場合
川崎市柔道整復師会:044-221-0380
川崎鍼灸マッサージ師会:044-555-7664
に、お問い合わせください。

60代男性、現在都内在住で、透析治療中です。近く麻生区に引越し予定ですが、透析室の見学は可能ですか?

透析室の見学は可能です。来院日が決まりましたらお電話ください。見学できる時間をお知らせいたします。

現在月水金の夜間で透析を受けております。その時間貴院のべットに空きはございますでしょうか。

現在月水金の夜間でしたら空きはございます。一度火木土の午後2時過ぎにオリエンテーションにお越し下さい。

人工透析の方が除水の1つの方法としてサウナを利用しておられます。何か不具合はないのでしょうか。サウナの温度にもよるのでしょうか。

『風呂透析』という方もいらっしゃいます。
あまり状態が悪くない方にとっては、水分による体重の増加を抑えることが出来、いいとは思いますが、『透析』とは違い水分のみを体外に出すので、血液が濃縮され、有毒物質が濃くなり、高カリウム血症・高リン血症になる危険性があると思われます。
又、サウナで無理に汗をかこうとすると、細胞が壊れ、カリウムが上昇するともいわれています。 さらに、心臓の悪い方・高齢の方にとっては、循環系に負担がかかるため、お勧めできません。

透析患者さんの摂取エネルギーの事でお尋ねいたします。普通の方と同じように標準体重をだしそれに30~35キロカロリーをかけて出すのでしょうか。透析の患者さんは制限食や飲み薬などの影響で食欲のない方が多く現在の実際の摂取量と比べて標準体重より出したエネルギーはあまりにも高すぎる感じがして、現実とても摂取できるカロリーではない気がします。指示カロリーが食べれない時はそのカロリーの部分は調整食品で補っていくといったやり方なのでしょうか。それともドライウェイトに30~35キロカロリーをかけて出したカロリーで良いのでしょうか。そしてアルブミン値などにより適正か、みていくのでしょうか。唯、ドライウェイトだと低めでぎりぎりのカロリーのような気もします。宜しくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。
「透析食勉強会」の中にもありますように、エネルギーは理想体重1kgあたり35~40g/1dayが目安です。
あくまでも目安ですので数字にとらわれることはありません。
体調の良し悪しもあるかと思いますので、これだけ食べないといけないと思わず、少量数回に分けて食べるとか、5色の色を揃える(野菜の緑、卵の黄色)など、調理方法を変える(揚げる・煮る・焼く・炒める・和える・蒸すなど)だけで食欲も増し、美味しい透析食が頂けます。

しかし、低アルブミン血症の方で食事による栄養状態の改善が見られない場合、内服薬でも対応しております。
「おすすめの一品」は当クリニックで実際患者様にお出ししているものです。ぜひ参考になさってください。

透析10年になりますが最近リンの数値が8.4~8.6の状態が続いています。食事ではリン摂取量は一日700~800になるように気をつけているのですが・・・原因は何でしょうか?

血液中の無機リンが高いとのことですが、一度上昇してしまった血液中のリンを、食事療法のみで下げるのは難しいのが現状です。(1回の透析により除去できる量は700~800㎎で、毎回の食事で摂取しているリンを除去するのみで、溜まってしまったリンを減らすまではいかない為です。)しかしあまりリンのことだけにとらわれ、タンパク質の摂取制限をしてしまうと、栄養不良になってしまいます。そこで食事中のリンを吸着する、炭酸カルシウムや塩酸セベラマー(薬品名:フォスブロック・レナジェル)を上手に服用することが大切です。(このとき食事内容にあわせ、薬の量を調節することが必要です。)又気づかずに採っていることもありますので、おやつや調味料を含めた全ての食事を書き出し、栄養士さんに見て頂くこともお勧めします。

又、食事からの無機リンの摂取量を少なくしても血液中の無機リンが低下しない原因としては、副甲状腺ホルモンが非常に高くなり、骨からカルシウムとともに無機リンが出てくる場合や、活性型ビタミンD製剤(副甲状腺ホルモンを抑えたり、骨の代謝を正常に維持するために使用されます)の使用により腸管からカルシウムと同様に、無機リンの吸収も促進する場合などが考えられます。

水分制限についてですが、透析を開始したら水分量は、食事の水分+飲水500~600mlと聞いた事があるのですが、病院等のHPで「水分の取り過ぎに注意」や「水分を制限しましょう」という表現で具体的に数字で何ml位と書いてある所は(自分が見たHPでは)ないようです。食事量も人により異なるため、飲水としての具体的な数値は決められないのでしょうか。 透析を受ける場合、水分量は食事の水分の他に、だいたいどれ位とれるものなのでしょうか。

体内の水分は下記のように動いています。
体に入る水分…食事に含まれる水分量(通常800~1000ml)・飲水量(お尋ねのところですよね)・代謝水(およそ200ml) *代謝水とは…体内で糖や脂肪がエネルギーとして使われる際に生じる水分
体から出る水分…汗や呼吸(900ml)・ 尿(0~300mlくらいの方が多い)・便(100ml)
入る水分量 - 出る水分量 = 1日の体重増加量
次回の透析までの体重増加を3~5%以下にする為には、ドライウエイトが50㎏の方の場合、1.5~2.5㎏(1500~2500ml)が許容範囲です。

例)食事に含まれる水分1,000ml、飲水量700ml、尿量0mlの場合
入る水分量(1,000+700+200)-出る水分量(900+0+100)=1日の体重増加量900(0.9kg)
次回透析までの体重増加(中一日の場合)0.9×2日=1.8kg

上記の例題からお解りのように、次回透析までを1.8kgの体重増加とすると、1日の飲水量は尿量+700ml程度となります。
水分をたくさん採ると、そのぶん体重が増えてしまいます。
ご自身のドライウエイト・尿量などから、ご自分の飲水量を計算してみてください。

インスタントコーヒーとドリップ式のコーヒーと、どちらがカリウムが多いですか?また製品によっても違いますか?

インスタントコーヒー、ドリップ式、コーヒー飲料で比べた場合、インスタントコーヒーが一番多くカリウムを含んでいます(大匙1杯あたり216㎎)。ドリップ式の場合細引き、粗引きによっても多少違ってきますが、100㏄あたり約65㎎です。コーヒー飲料はメーカーや種類によりさまざまですので、気に入ったものがありましたら、各メーカーのお客様相談室にお問い合わせ下さい。コーヒーの場合、カリウムはもちろんですが水分制限にも大きくかかわってくると思います。血液検査結果、日々の体重増加などを考え、担当の先生にご相談されることをお勧めいたします。

カリウム抜きといいますが、どれぐらい湯でこぼしをしたらいいのでしょう?浸水時間はどれぐらいがいいのでしょう?

茹でる時間は、切り方、根菜・葉菜によって、またその後の調理方法によっても多少違ってきますが、葉菜の場合は通常の調理と同じでかまいません。
根菜の場合は3~5分茹でると、ある程度は抜けるようです(小さく切ればそれだけ抜けやすくなります)。茹で汁は一度捨て、新しい水を加えて調理してください。
浸水の際は、表面積が大きくなるよう細かく切ってください。当クリニックでは、1時間以上浸水しています。

私の母は87歳で4年前から週3回の透析治療を受けております。自宅で透析が出来る方法があるそうですが、どのようなものですか、お教え下さい。

在宅にて透析する方法には、「腹膜透析」と「在宅血液透析」があります。
「腹膜透析」とは、内臓を覆う腹膜内に透析液を注入し、腹膜を通して液に老廃物をしみ出させる方法ですが、数年で機能が低下し、血液透析への移行を強いられているのが現状です。
「在宅血液透析」は透析施設で使われております人工透析機と小型の専用浄水機を自宅に置き、自由な時間に体調に合わせて透析をする方法です。
ただ問題は、透析が真夜中に及ぶこともあり、介助する家族の負担が大きく、現在全国でも患者数は100名程度です。
「日本在宅透析支援会議」のページで詳しくご覧になれると思います。

http://www.jshd.jp/